伊坂幸太郎「ゴ−ルデンスランバー」

ゴールデンスランバー

ゴールデンスランバー

首相暗殺の犯人にされた主人公を、たまたま道で会った人や10年くらい会ってない元カノが助けてくれる話。

映画を観にいく予定なので読んでみました。面白い。ひどい話なのに面白い。

伊坂作品について詳しくは知らないのですが(苦手だから)、「裏切り」を書かない作家なのかな、と思いました。主人公の味方はずっと味方のままだし、悪役は本当に絶対的に悪人なので寝返って主人公側につくこともない。己の信念を貫き通す人たちの集まり。だから安心して読めるのかな。展開が読めそうで読めたり、読めなそうで読めたりするバランス配分が絶妙すぎて泣けてきます。

どう考えても救いのない話なのに、ラストむりやりいい話にもって行こうとするのもすげー構成力だなとマジで感心します。これ、映画だと結末変えてるんじゃないかな、どうだろ。そういえば、バイト先の映画好きの人に「これ観にいかないんすか」と聞いたら、「友達が下水管で死んだからね、あんま見たくない」と言われました。