「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」

LOVE8002012-02-20

観ました。

大傑作。あと2時間長くてもいいし、あと30回観てもいい。

9.11が題材ということもあって、世間では言葉を選んでる感想が多い、というかネットでは結構さめ気味?なムードが漂っていますが、すごく良い映画です。静かな中に特に子役への演出がすばらしく、記憶を何でも数字で把握していたり、今までついた嘘をぜんぶ数えているといった神経症的な造詣と、溜め込んでいた秘密や間借り人に向かって洪水のように吐き出すシーンの対比が非常に効果的に使われていて。地下鉄にガスマスク着けて乗ったり、テコンドーしながら矛盾合戦するところは、あえてこの言葉を使わせてもらえば、最高にチャーミングです。

「ブラック」というファミリーネームのみを頼りに、綿密なリサーチのもと主人公がいろいろな人と出会う(ここもっと色々見たかった!けど、ばっさりカットしてこれだけの情報量を伝えられるのはすごい)。そのひとつひとつの出会いが最後大どん返しを導き、公園のブランコ、お母さんとの会話、間借り人とおばあちゃんのシーン、という怒涛のカタルシス大連発に繋がる。ここで起こる奇跡の数々に入り込めるか、「こういうのを見てニューヨーク市民はどう思うのだろう」と考えてしまうかで、この映画への評価が変わってくるかもしれません。俺ですか?号泣メーーン!

「しあわせのパン」

LOVE8002012-02-13

「しあわせのパン」みてきました。

先日パンのコーディネーターをされてる方とお話をする機会があって、この映画を薦められたので観てみました。いや、すごくピュアで良い映画でした。普段だったらスルーしちゃう映画だけに、貴重な出会いをいただけたと思います。

パンはちぎって分けてみんなで仲良く食べようよ、というイエス・キリストの頃から大事されてきた精神よ、ふたたび。劇中にでてくるパンもすごくおいしそうに作られていて(あとサクッていう音もイイ)腹ペコ必死です。中でも冬季限定のチーズ入りパンが死ぬほどうまそうです。

こういうスローライフ的なお話を生半可な役者がやってたらしゃらくせえで終わるのですが、大泉洋原田知世のふたりが演じてるもんですから、ニコニコしながらパンを分け合うその非現実的なまでの神秘性にへへーっとひれ伏すしかないわけです。大泉洋はもう北海道を舞台にした映画撮るなら呼ばないと失礼、みたいな雰囲気になっていて、もはや大御所の風格です。

あと平岡裕太くんが劇中で乗ってるバイクがよかったなあ。スズキのボルティなんですけど、ほどよいダサさが作品とマッチしていてとても素敵でした。あと、大橋のぞみちゃんの役はちょっとした叙述トリックになっているので、なかなかあなどれません。ただの不思議映画だと思わず、色々な方に観ていただきたいですね。

「ヒミズ」

LOVE8002012-02-09

最近行くラーメン屋を選んでいるんですという話をさせていただくと、以前というか学生の頃は何が何でも二郎っていう時期がありまして、その頃ってインスパイア店が一店できるたびに話題になるような時代だったので家〜大学間にあるそれっぽい店は全部制覇したり週3くらいで歌舞伎町の二郎に行ってたり(誰がなんと言おうと俺は歌舞伎町肯定派です)あのころ君は若かったって感じなんですけど、社会人になったとたんさすがに二郎のラーメンを食うのがしんどくなってきたっていうか食べることにさほど意味を見出せなくなってきたので最近そんなに行ってません(月1回行くか行かないか)。まあバイク乗って二郎行った帰りに事故っちゃって、それ以来避けていると言うリアルなあれもあります。

うってかわって地元の細めん的なとことか家系なとことかがお気に入りになりまして、職場からちょっと離れたとこにあるお店がお気に入りだったんですけど、昼間の学生バイトの女の子がやめちゃって男店員ばかりになって、それだけでもテンション駄々下がりなのに注文間違えるはスープの量は不安定だわで行く度にストレスたまってしょうがないので、ラーメン自体はすごく好きなんですが、最近めっきり行かなくなりました。

昔はそんなことがあっても、「ここが好き!ここで食べるんだーい!」ってひとつのとこに固執してたんですけど、そんな感じでふとしたことでストレスを感じたとたん、あっさり離れてしまうようになりました。

そんな僕がひさしぶりに歌舞伎町なんぞに来ました。歌舞伎町と言えば以前は何が何でも二郎だったのですが、今はもはや天下一品とか行っちゃう中華そばランチ野郎(こってり)なので、博多風龍に行きました。博多風龍には一杯500円のタイプと、なんかいろいろあるタイプがあって、いろいろあるほうに行きました。辛いやつを食べたんですけど、なんか麺がぬるぬるしてて気持ち悪かったし、替え玉2回したらスープが全然足りなかったのでこりゃあかんわと思いました。博多ラーメンなのに商品提供が妙に遅いのも気になるので、すいてるときに行って普通のを食べた結果次第で、選択肢から外れることになると思います。

食べたあとはバルト9でヒミズを見ました。園子温オールスター感謝祭といった按配で、冷たい熱帯魚で死に様をまっとうしていった面々が序盤から「住田さあ〜ん」なんてのんきな顔して再登場。全然意味のない西島君や黒沢あすかとか、全体的にそんな感じでキャラクターが終始ふわふわしており、面白い、面白いしめっちゃ笑ったのだけど、ファンの描いた同人誌読んでるみたいな気分。

なんというか、今日はたべるぞーって意気込んで二郎に行ったら店員さんに「残してもいいですよ」と言われた感じ。学生服の高校生や女の人がよく言われてます。お前らの限界はここまでだろ、と見透かされているような。こんな感じの目線にあわせて撮ったりもするのだなあ。一緒に観にいった中嶋くんは宮台真司のとこでやたら笑っていて、こういう感覚っていやだなあと僕は思ったのでした。(もちろん、僕も笑っていたのですが・・・)

「哀しき獣」

LOVE8002012-01-26

アイドリング!!!のファンクラブ限定で販売されているDVD「月刊アイドリング!!!」の中にその名も「ご飯のおともにアイドリング!!!」というメシ食ってるメンバーを延々正面から撮ってるだけというコーナーがありまして、それみながらご飯食べると彼女達といっしょにメシ食ってる感じになるというのが売りなんですが実際やると大変やるせない気持ちになる代物であるところはラーメン食いながら試したこの私が保証するところであります。

そんな彼女達アイドリング!!!がなんとそろって(13号長野せりなさん以外)モニターから飛び出しみなさんおなじみラゾーナ川崎のルーファ広場に来るということで人として当然の行動をとりましたすなわち観にいってきたのです。フリーライブということで女の子のファンも多く普段とは違う感じ。新曲MAMORE!のみならず、カップリングであるサラサラ★キューティコーとバッキューン!も披露して頂きわたくし幸せ。特にバッキューンは森田三宅橘(こう並べるとカミセンみたいですが、すぅちゃんひぃちゃんゆりかるのことですよ)19歳トリオの魅力炸裂のスイートチューンで頭の中をぐるぐる回って止まる気配がありません。ずっとずっと愛してるぜー!サラサラメンバーの酒井さんは前髪を変えてとてもきれいになっていました。それにしても待ってる間寒かったなあ。いやでもミニスカートで歌う彼女達のほうがもっと寒いはず!がんばれ、がんばれニッポン!がんばれハ・ジョンウ!と、ライブの前TOHOシネマ川崎でみたナ・ホンジン監督第二作「哀しき獣」は、主人公を演じるハ・ジョンウさんの「寒い!カップラーメン食いたい!」「隣のやつが食ってるフランクフルト、うまそう!」という、ストレートな欲求が気持ちよく、本能的にひきこまれる映画です。ちなみに川崎といえば浦賀和宏先生もこの映画館でこの映画をご鑑賞されたというツイッター情報もあり、浦賀ファンとして感慨深いものがあります。あ、わたくしキックアスもここで観ました。

中国で生活する朝鮮族というドシリアスなテーマを扱っているにもかかわらずところどころ妙にコミカルで、グラサン姿がケンコバそっくりのキム・ユンソクや、ひょっとこ乱舞というインテリ劇団の看板役者チョ・ソンハがいい味出しています。作中の殺人でもっとも使われる凶器がナイフだというのもいいですね。後半になるにつれ豚骨になったり、車でどかんとぶつけたりどんどん雑に原始的になっていくのもいい。殺しの美学、THE・美学。ライブ後の一斉握手会にももちろん参加しました。ルリカさんの握手強かったなあ。クライマックスで繰り広げられる狂気的なカーチェイスは必見です。

第三舞台「深呼吸する惑星」

「未来がわからないってワクワクするよ


第三舞台「深呼吸する惑星」観る。

ほとんどの日本人がそうであるように、わたくしも第三舞台の解散公演のチケットは取ることができず、地元マイカルにてライブビューイング鑑賞することとなった。

死んだ人のブログはどうなるのか。これからの未来に永遠に残っていくのか。それはいいことなのか、悪いことなのか。未来に対する漠然とした不安が、SF調のストーリーを通して語られる。筧利夫小須田康人長野里美ら、第三舞台の「劇団員」たちが、まるで時が止まっていたかのように、昔のままのパワーで演じてくれる。

もう面白いかどうかじゃなくて、第三舞台の芝居がみられる、そしてみられなくなるということに意味があり、価値がある。役者としてはもはや歴史上の人物である伊藤正宏が出てきた(VTRだけど)ときは我が目を疑ったし、やたらめったら昔のネタを繰り返して笑いをとる感じも、なんだかなあと思いつつも、ちゃんとわかる自分に満足しちゃったりして。それが映像や、戯曲を通じてしか知らないものであっても。

ここには心躍るストーリーやパフォーマンスもなければ、尊大な主義主張も存在しない。あるのは、昔を懐かしむ心と、サービス精神だけだ。全国からスクリーン越しに拍手を浴びることができるなんて(普段は閑古鳥の地元マイカルがほぼ満席)なんと幸せな劇団であろうか。それにしても長野里美やっぱきれいだよなあ。

今回のテーマソングは「ずっと好きだった」と「恋する凡人」。スピッツを大音量で流しながらのあのうそ臭い剣戟シーンには、胸が熱くなった。もちろん、エンドロールの「第三舞台 岩谷真哉」の文字にも。